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冷たい月を抱く蝶
第2章 温かい手のひら


それは不思議な感覚だった。


冷たい雪が降っているのに、その人に抱き締められると、自然に寒さを感じなくなった。


暖かい腕。優しい声。私の頭を優しく撫でてくれる大きな手。


私はそこで忘れていた両親のことを思い出した。


私を抱き締めてくれたお義父さんの腕は暖かった。

 その暖かい温もりを見知らぬ人の腕の中で、私は思い出した。



この人の腕は、こんなにも暖かい――。



優しい揺りかごのように私を抱き締めて、受け止めてくれる。

その温もりを感じると、私は抱きついて泣いた。
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