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冷たい月を抱く蝶
第3章 偽りの家族の肖像

私は彼から自分の部屋を与えられた。
そこは少女なら、誰もが憧れるような素敵な可愛らしい部屋だった。
まるで夢物語を見ているかのような、素敵な気分にさせてくれた。
部屋にはビスクドールや、クマのテディベアや、
綺麗なオルゴールとかが、置かれていた。
お姫様みたいな部屋に私の小さな胸は弾んだ。
こんな素敵な気分にさせてくれる父に、私は初めて心の底から生まれてきて良かったと感じた。
その瞬間は、嫌なことや忘れたい出来事を全て忘れさせてくれた。 幸せな気持ちになると、私は彼の足下に抱きついて、感謝の気持ちをつたえた。そんな私に父は少し照れてる様子だった。
あとから聞いた話。父は私にこの部屋をプレゼントしてくれる為に、色々と考えてくれたらしい。
そんな父の優しい性格に私はこの人の「娘」になれて良かったと感じた――。

