この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
冷たい月を抱く蝶
第4章 悲しみの記憶と……
大人は誰も助けてくれなかった。私を見ながら素通りした。そして汚いものを見るかのような目で、私を見ながら蔑んだ。
私は子供ながらに心がちぎれてしまいそうだった。
どうして私がこんな目にって、いつもいつも心の中で叫んでいた。そんな私の苦しみなんて、大人は誰もわかってくれなかった。そして私を見ながらこう言うの「可哀想に――。」
そう言って私の目の前を素通りする。だったら一層、心なんてなくなってしまえばいいって思った。
心がないほうが何も感じないもの。
孤独も悲しみ辛さも痛みも、毎日飢えに苦しむことも感じなくていいわ。でも、いくら願っても心が痛くなるだけで、私から心から消えることはなかった。