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冷たい月を抱く蝶
第4章 悲しみの記憶と……


夜に食べ物を探しに街の中を歩いていると、たまに目にする光景があった。

一軒家の窓に明かりが灯っているの。

 私は何となく、その明かりに誘われて家の外から窓をのぞくの。

 家の中では家族が笑顔で笑っていた。そして幼い子供が父親に抱っこされて無邪気に笑っていた。

 何気ない光景なのに、私は子供ながらにそのごくありふれた光景に嫉妬した。

その子供には暖かな両親がいる。
そして食べる物にも困らずに、暖かい毛布に包まれてベッドの上で安らかに眠る。

そこには恐怖なんてないんだわ。
そして夜に怯えることもない。
私は家の中にいる子供が羨ましかった。

 両親に守られていることに私は嫉妬して、そして心がますます惨めになった。


 あれは今でも忘れないわ。そう、あれは言葉では言い表せないくらい惨めだもの――。



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