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第10章 変わる距離

「すぐ着替えるから待ってて？」

そうして秋人は笑いながら離れると着替えを始めた。その間にとばかりに姫紗は出来るところまで仕事を進める。そうしていると秋人はすでに支度を終えていた。

「帰るぞ？」
「あ…うん！」
「姫…？」
「何？」
「…いや、後で良い」

そうして後で…と珍しく歯切れの悪い言い方をした秋人。

「うちくるか？」
「でも先約って…」
「姫だよ。ほかに誰か居る？」

そうして笑いながらもぽんと背中を軽く叩き控え室を後にした。車に乗り込むと先に秋人の車が出る。その後を姫紗が追いかけるように車を出した。しかし秋人のマンションと向かう先が違う。