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お礼の時効
第3章 あなたを傷つけるようなことはしません
震える声で訴える春季の姿に、春季が過去の恋愛で大きな傷を負っていることに浅野は気付いた。
そして春季の心をかき乱している原因が自分であり、春季が自分に少なからず好意を抱き始めていることも。

春季を抱きしめてあげたい、支えてあげたい、優しく包んでやりたい。
浅野はその思いを言葉にした。

「私はあなたを傷つけたりはしない」

春季は嗚咽を堪えるように口元を手で押さえ、肩を震わせている。
浅野は春季に誓いをたてるように、もう一度告げた。

「私はあなたを傷つけるようなことはしません」

体を震わせ泣き続ける春季に、浅野は腕を伸ばして抱き寄せた。

「だから、私にあなたを守らせてください。春季」

春季は浅野の言葉に、浅野の胸にしがみつき泣き続けていた。
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