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お礼の時効
第4章 せっかく捕まえたと思ったら、逃げられたんです
「私は愛していると何度も伝えたのに……」

恐らく浅野はあの女弁護士に想いを伝えたのだろう。そしてあの女弁護士もそれに応えたから赤い痕で示したことは容易に想像がつく。だけど女弁護士の想いは浅野はまだ知らない。
詩織はなんだか浅野がかわいそうに思えてきたが、それとこれとは話が別だ。仕事をしっかりしたあとで悩めばいいことだ。
詩織は大きな声で浅野に言い放った。

「仕事ができない男を、時任弁護士が好きになるとは到底思えませんよ。浅野検事」

浅野はしばらく黙り込むと大きなため息をついて目を閉じた、するとすぐに表情が変わりようやくいつもの浅野の顔になっていた。

「それでは今日も一日お願いします」

詩織は頷いて、改めて今日のスケジュールを浅野に伝え始めた。
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