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仮面というもの
第2章 美しい妻と可愛い彼女と……
「そう言えば、お前、どうして『遥さん』と読んだんだ?」
「あっ、旦那様が『遥』とお呼びしてらしたので、ついつられて……。」
え?俺、遥って呼んだっけ?
少し混乱して、頭が真っ白になった。
「旦那様は私とお付き合いする前までは、私のことを『諸見』と呼んでらしたのに、あのお嬢さんのことは名前でお呼びになるのね。
随分親しいこと。」
「あ、あのな、月?
そんな関係じゃないんだよ?
ただの医師と看護師の関係だよ?」
「ふふっ、だからそんなに動揺したら《何もかも》バレてしまいますって。
それに、《そんな関係》とはどんな関係ですか?
私は初めから《医師と看護師の関係》で親しいと思っていましたわ。」
うっわ。これはダメじゃないか?
もしかして、気づいてる?
「お、そっか。
《そんな関係》は特に何でもなくて、ただのドラマの見すぎで言ってしまった。ごめんな。」
そして、また月はクスッと少し笑った。
「何に対して謝っているのですか?
《そんな関係》だと肯定しているみたいですよ。」
口は災いの元とは、まさにこのことだ。
言葉に詰まっていた、その時。
「月さーん。」
月を呼ぶ男の声がした。
「あっ、旦那様が『遥』とお呼びしてらしたので、ついつられて……。」
え?俺、遥って呼んだっけ?
少し混乱して、頭が真っ白になった。
「旦那様は私とお付き合いする前までは、私のことを『諸見』と呼んでらしたのに、あのお嬢さんのことは名前でお呼びになるのね。
随分親しいこと。」
「あ、あのな、月?
そんな関係じゃないんだよ?
ただの医師と看護師の関係だよ?」
「ふふっ、だからそんなに動揺したら《何もかも》バレてしまいますって。
それに、《そんな関係》とはどんな関係ですか?
私は初めから《医師と看護師の関係》で親しいと思っていましたわ。」
うっわ。これはダメじゃないか?
もしかして、気づいてる?
「お、そっか。
《そんな関係》は特に何でもなくて、ただのドラマの見すぎで言ってしまった。ごめんな。」
そして、また月はクスッと少し笑った。
「何に対して謝っているのですか?
《そんな関係》だと肯定しているみたいですよ。」
口は災いの元とは、まさにこのことだ。
言葉に詰まっていた、その時。
「月さーん。」
月を呼ぶ男の声がした。