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淳、光と闇
第11章 片羽の天使
「残っている腕も諦めなければいけない…」

「そ、そんな…」

淳は目の前が真っ暗になった。

「先生、何とかならないのですか?」

「腕を切除するしか…
方法が…ない…」

「恵ちゃん…」

淳は地獄のそこに突き落とされた気がした。

それでなくても片腕がなく苦労している恵。

それでも施設内では仲間が恵を助けて

日常生活は不自由していないが…

これから先社会に出れば…

それを考えると淳は胸が張り裂けそうだった。

恵はその日の内に入院して

翌日から検査…

結果を待って切断手術と言う日程が決まった。

淳は密かに看護師長や省吾に他の

病院での診察の可能性を探ったが…

結果は同じだった。

「恵ちゃん!!」

詳細を知らない恵は淳を毎日待っている。

「恵ちゃん、おはよう!!」

ある日、淳は恵に話をする為に

朝から病室を訪れた。

「あ、先生、おはようございます!!」

「元気ね、良い子ね。」

そう言いながら恵の頭を撫でる淳。

恵はこれがお気に入りで撫でられたいが為に

良い子にしている。

「ねぇ、恵ちゃん…
先生、お話があるの…」

「なぁに?先生…」

「座って良いかな?」

「あ、どうぞどうぞ…」

淳は椅子に座って恵をじっと見た。

「先生…どうしたの?」

「あのね…恵ちゃん。
これから先生がお話しすることは
とても大切なことです。
そして恵ちゃんにとってとても悲しいことです。」

「先生…恵が悲しい?」

「そう…とても悲しいの。」

「何でしょう?」

「あのね、恵ちゃんの病気は…
恵ちゃんの腕に悪い巣を作ってしまったの。
それでね、その巣を取らないと
病気は腕から体中に移って…
恵ちゃんは死んでしまうの…
だからね…」

そこまで言うと恵は

「やだ!!腕は…
無くしたくない!!」

じっと淳を見つめながら答えた。
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