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淳、光と闇
第11章 片羽の天使
その頃母は恵の前で土下座して詫びていた。

「恵ちゃん、ごめんね…
ごめんね…」

恵は母に

「ママ…来てくれたのね。
先生は…約束守ってくれた…
恵は…手術受けます…」

「恵…」

「ママ、会えて良かった…
これで、恵はママを…
諦められる…」

涙を流しながら恵は母に

抱きついた。

「恵ちゃん…」

母は泣きながら病室を出たとき

「ちょっと…待ちなさいよ…」

怖い顔した結花とゆり。

「はい…」

「あんたね…
恵ちゃんの母親でしょう?
なんで…なんで…
娘を捨てるの!!
あの子、恵ちゃんは強い子よ。
決して親を恋しがらなかった…
でもね…一人になると…
親子で話しているのを見ると
決して人には見せない悲しい顔をするの…

あんた…恵ちゃんがどれだけ
寂しい思いしてきたか分る?
どれだけ泣きたかったか分る?
分らないでしょう…
あんた…母親を名乗る資格ないわよ!!」

二人は物凄い形相で母の胸倉を掴んで詰め寄った。

「おやめなさい!!」

後で看護師長が怖い顔で睨んでいる。

「だって…」

「良いから…」

看護師長は母に

「お母様…
せめて…恵ちゃんの
手術が終るまで…
付き添って頂けませんか?」

物静かに言う。

「分りました…」

「婦長!!」

「お黙りなさい!!」

看護師長は分っていた。

結花とゆりがどうしてこんなに怒ったのかを…

二人は捨て子だった…

二人をここの院長が拾って我が子のように

育てて今では病院を代表する看護師となった。

しかし、二人は親の事を今でも恋しく思う。

たまに涙を流す事も…

それ故に二人には恵の母の取った行動が

絶対に許せなかった。
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