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淳、光と闇
第16章 省吾からの旅立ち
省吾は持っていた本を放り出して

「ゆ、由美君!
今、何と申した??」

「は??
あの…淳ちゃんから
旦那様に明日お仕えしたいと
申し出が御座いました…
と申し上げましたが?」

「そ、それを、
何故早く言わんのじゃ??
由美君!!明日の予定は
全てキャンセルしなさい。
由美君、馬鹿息子の
事より何故淳ちゃんの
申し出の話を先にせんのだ?

こうしてはおられんわい。
由美君、業者を呼んで
屋敷中を大掃除させなさい!
一流の料理人を呼んで
明日は最高の御馳走を
淳ちゃんに用意させなさい。

あ、散髪を呼びなさい。
この髪では
淳ちゃんに嫌われるわい!!」

「まぁ…旦那様…
呆れた…」

由美はあんぐりと口を開けて呆れている。


しかし、由美には

省吾の気持ちは良く分かった。

省吾は大企業の会長を務め

いくつもの役員を務めている。

世間での影響力は計り知れない。

しかし、由美は知っていた。

省吾は、孤独なのだと…

そこへ淳ちゃんと知り合って

そのはっきりとした性格と

優しい日本女性特有の心根。

さらにはどうしようもない天然さが

省吾の親心をくすぶりまた、

淳自身、省吾を頼って懸命に生きている。

そんな淳を省吾は目に入れても

痛くないほど可愛がった。

淳は最近多忙の為、中々省吾の

元へ来れなくなっている。

省吾はそれを何より寂しがって

最近では機嫌も悪くなっていた。
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