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第18章 淳、命の重さ

故にたまに施設に省吾を呼んで

子供達の礼儀作法を見てもらい

直々に省吾に講師を頼む事もあった。

省吾はこれには大いに喜んで

暇を見つけては施設に出向き

礼儀について教えて

今では子供達は下手な大人より

礼儀を重んじるようになった。


「淳ちゃんは
良い所に目をつけた。
今の世の中、
礼儀さえ知らずに
数字だけ追う若者が多い中で
ここの子供達は礼儀を重んじて
何より精神が清められている。

人は…
信用を勝ち取る為には
まず基本の礼儀を知らなければ
何もならないが…
淳ちゃんは
そこをきっちり押さえている。
さすがだ…」

淳びいきの省吾だったがこれは

ひいき目無しに子供達と淳を誉めた。

「旦那様…違いますよ。
礼儀というものは
正しい作法が大切です。
旦那様が正しい礼儀を
教えてくれたからこそ
子供達は正しい礼儀を
身に付ける事が出来るのです。

旦那様…ありがとうございます。」

淳は省吾に礼を言う。

省吾はそんな淳にメロメロで

「おぅおぅ…
淳ちゃん、わしでよければ
いつでもくるぞ？」

と目を細める。

「旦那様は…
本当に淳ちゃんの
事になると…
人が変わるのです。」

由美がそう言って笑う。


そんな淳はある時から

悩んでいた。

それは…

施設の子供達は

２０歳くらいまでしか

生きる事が出来ない。

それは白血病だったり

筋ジストロフィーだったりと

不治の病の子が多いからだ。

「２０年しか生きられない…」

淳はこの事に悩み苦しんだ。

この事実は変わらない…

では、この事実を

どう伝えれば良いのかを

淳は悩んで苦しんでいた。