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淳、光と闇
第20章 トランぺッター龍二、悲しみのレクイエム

「それにしても
あの人…何で…」

みゆが首をひねった。


それから数日後。

入院中のお年寄りが天寿を全うした。

「よく頑張って
生きてこられましたね。
安らかに
お眠りください…」

ここでは患者が

逝ってしまうとさゆりは

看護師を代表して必ず挨拶をする。

挨拶を聞きながら結花と勝枝は

「そろそろよ…」

と耳打ちしている。

するとやっぱり聞こえてきた。

物悲しいトランペットの音色…

淳と結花、ゆりが駆け出した。

「お待ちなさい!!」

美紀が止めるが三人はビルの屋上を

目指して走り出す。

「ここね??」

三人が屋上にたどり着くと

龍二が下水設備の小屋の上で

トランペットを吹いていた。

高く天を向いて。

物悲しい音色を響かせている。

三人はしばらくそれを見ていた。


演奏が終わると龍二は

その場に蹲り泣いていた。

三人は龍二の後ろから

「どうして
患者さんが逝ってしまうと
トランペットを…
吹いているの?」

突然話しかけられて

龍二は驚いた様子で

「これが…俺流…
逝ってしまった人を
送る俺のやり方。」

そう言ってその場を立ち去った。

三人は言葉も出ずに黙って見送る。
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