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淳、光と闇
第27章 みくと淳 復活へ自分との戦い
「あのな、権威さんよ…
日本の救急救命の実力は世界一だ。
それは救急救命が一分一秒を争って
その短い時間が患者の生死を分ける。
それを医師や看護師、スタッフが
身に沁みつかせているんだよ。
あんたのさっきからのしぐさを
僅かなしぐさの違いを
このじゃじゃ馬は見逃していなかった。
小さな事からあんたの性格や癖を
短時間で見抜き何を考えているかを
予想してその場の状況から
最善の選択肢を選ぶ。
さっき使わない器具を要求したときも
じゃじゃ馬はそれを察知していた。
手術自体は順調だから。
じゃじゃ馬はこの時にあんたが
自分を試すと読んで
器具の中から数に余裕のある物を
選びあんたの好みの器具を予想して
持っていた。それが種明かしだ。」
「そんな事が出来るのか?」」
シュナイダーは驚きの表情を見せた。
「出来るさ…
このじゃじゃ馬はその
予知する、読み取る能力は
ずば抜けている。
そんなところに
救急救命の実戦で鍛えた勘が加わって
最後にこのじゃじゃ馬のIQは天才的だ。
特に看護師としての素質は今世紀最後の
奇跡とまで言わせた。
あんたの考えている事を見抜くことくらい
たやすい事だ…」
「先生、お喋りが過ぎますよ?
それに私はじゃじゃ馬ではありません。
さぁ、最後の切除です。
はい、メス…」
「サンキュー」
「う、嘘…」
看護助手が医師に器具を伝えて先渡し
するなど見た事もない。
「確かにこのナースは天才だ!」
手術は成功した。