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淳、光と闇
第32章 小さなスプリンターの大きな夢
「そう…なんだ…」
「先生!大人は…
まみちゃんを見捨てた!
せめて…もう一日…
たった一日だけ…
まみちゃんを
生きていさせてあげていれば…
俺は…俺は…」
正平はそう言って淳に泣きついた。
「正平君…」
「ねぇ…正平君?」
「なに?先生?」
「もう一度
まみちゃんに…
優勝カップを
見せてあげようよ?」
「え??」
「先生は正平君の
話を聞いて思うの…
まみちゃん、
きっと悲しがってる…
残念がってる…
だって…大好きな正平君が
自分の為に大会が嫌いになって
自分の為に優勝できなくて
きっとまみちゃん
悲しい思いをしてる…」
「先生!!
そ、そんな事ない…
まみちゃんは、まみちゃんは!」
「正平君だって
まみちゃんの為に
高飛び続けているんでしょ?
今でもまみちゃんが好きだから
まみちゃん、忘れられないから…
高飛び続けているんでしょ?
もし、本当に嫌なら
今頃正平君は高飛びやめてるわ。」
「先生…」
「頑張って…
もう一度まみちゃんの為に…
大会に出て
今度こそ優勝カップを
表彰台の一番上から
まみちゃんに見せたら?」
「先生!!」
正平は淳にすがり付いて
わぁわぁと泣いた。