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淳、光と闇
第32章 小さなスプリンターの大きな夢
「先生!俺…俺…
まみちゃんが死んで…
悲しくて…大会に出るのが怖くて…
逃げていた。
出ればまみちゃん思い出して
悲しくなってしまう。
それが嫌で…
俺、逃げていた。
俺、大会に出る。
そして優勝カップを
天国のまみちゃんに
今度こそ…見せる…」
淳はにっこり笑って
「頑張って…優勝カップを…
見せるのよ?天国で見ている
まみちゃんに…」
「うん!!」
次の日から正平は毎日練習を重ねた。
一方、省吾は小学生体育連盟の
理事をしていて正平の話を
聞きつけてわざわざ見に来ていた。
「あれが…天才児の正平か?
しかし、この施設は確か…」
「旦那様…」
「淳ちゃんか。
淳ちゃんがあの子を?」
「はい…
淳が正平君を大会に誘いました。」
「そうか…
しかし、あの子は去年の大会では?」
「はい。
それはですね…」
淳は省吾にまみの話を聞かせた。
「なんと!!
それで…勝てなかったのか?
それであの子は
大会から姿を消したのか?」
驚いた表情で淳を見る省吾。