この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
淳、光と闇
第32章 小さなスプリンターの大きな夢
その頃第一内科詰め所では
さゆりが淳に
「貴方の判断…
正平君の病気を…
知っていて大会に出したのは…
看護を預かる者として…
間違っていますよ?」
「はい…」
「何故かは…
分りますね?」
「はい…」
「今回の件の責任…
取ってもらいます…」
「はい…婦長さん…」
「ちょ、ちょっと待って!
婦長さん!!」
看護師全員がさゆりに
「今回の件は…
私達でも同じ判断すると思います。
ですから…今回の淳の判断は
間違っていないと思います。」
「そうですか?
皆、看護というのは…
時として鬼神と化さなければ
いけない時もあります。
分っていますか?」
そう言っているさゆりの目には
涙が溢れていた。
正平の気持ちを知っていれば
誰もが正平を大会に出した。
そんな事…さゆりが分らなかった
はずはない。
しかし、それでも看護の
基本からすれば淳は正平の
寿命を縮めた事になるのだ。
「婦長さん…
私…処分を受けます…」
「そうですか…
では…処分を下します…」
「婦長!!
お願い!!淳を許して!!」
「淳看護師…
貴方は看護師として
基本理念に外れた判断をして
患者の命を縮めました。
よって…看護師としての
権利を剥奪…」
「そ、そんな…
酷い、酷い!!
婦長!!」
「剥奪するところですが…
今回の患者の安らかな
終焉を考えまた、勇太君の
願いもあるので…
本日より一ヶ月間の
看護助手に降格を命じます。」