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淳、光と闇
第34章 看護の心
「まぁまぁ…かわいいね?」
「はぁ…」
「ま、宜しくね…」
「はい…」
「正さん、点滴のお時間ですよ。」
京子が点滴台を持ってきた。
「ねぇ、京子さん。」
「はい、何でしょう?」
「たまに点滴…
お休みしない?」
「だ、駄目です!!」
「どうして?」
「どうしてって。
あのですね…点滴は
正さんの病気を治す為に必要だから…」
「俺の病気は治るの?」
「治りますよ。」
「本当かい?」
「看護師は
嘘はつきません。」
「保証できる?」
「はぁ?」
「やっぱり治らないんだ…」
「そんな事ありませんよ。」
「ふぅん…」
京子は正の目に悲しいものを見た。
「正さん?」
「なんだい?」
「何故、看護師に
いたずらばかりするのです?」
「それを言わないと駄目かな?」
「それを私は知りたい。」
「どうしてさ?」
「私、看護師になって日が浅いのです。
普通は患者さんは私達の
言う事を聞いてくれますが
正さんは相手かまわず逆らってばかり。
それが不思議なんです。」
京子はじっと正を見ている。
「あのさ…」
「はい…」
「看護師さんって皆、嘘つきだ。」
「え??」
「俺は余命一年。
詰所の前で偶然聞いた。
でも、看護師さんは皆
俺の病気は治ると言う。
そう言う京子さんだって
さっき俺にそう言った。
看護師なんて皆嘘つきだ!」
「… … 」
「だから俺は
看護師の事は嫌い。」
「… … 」
「京子さんもこれで分かった?
俺にあまり構うとろくなことないよ。」
「そんな事、ありません…」
「へ??」
京子は正を睨んだ。