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淳、光と闇
第36章 省吾の我儘
「淳ちゃんよ。」
「はい、何でしょう?」
「わしは…今の今まで…
高価な物がなによりの物と
勘違いしていたようじゃ。
しかし、しかしな…
今回だけは…今回だけは…
この洋服は結花に似合うじゃろうか?
この和服をゆりが着ればどんなに美しいじゃろう、
このアクセサリーを二人が着ければ…
どんなに可愛いじゃろう…
そんな事しか考えてないで用意した物。
世間で言う親ばかじゃのぅ…
しかし、あの二人には…
わしの気持ちは届きはせんかった様じゃ。」
「そんな事…ありませんよ?
旦那様…」
淳が優しく省吾に言う。
「そうかのぅ?」
「はい…淳には分かります…
二人は嬉しかったのです。
でも、素直になるのが…
照れくさかったのですよ。」
「それならいいんじゃが…」
「お父さん、私…
洋服はもっと明るいのが良いの!」
「お父さん…
ゆりはもっと地味な着物が似合うの。」
「まったく…娘の好みくらい…
覚えてよね?」
「お父さん!
今のはやり勉強不足よ。」
「でも…でも…
私達…嬉しい…凄く嬉しい!!」
「ゆり、結花…」
「ほらね?」
淳が笑っている。
「お父さん!!ありがとう!!」
二人は省吾に飛びついた。