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淳、光と闇
第36章 省吾の我儘
「婦長さん、婦長さん!
淳は…淳は…
わぁぁぁぁ!!…」
淳にしては珍しく取り乱し、
はばかることなく
さゆりの胸で号泣した。
「かわいそうに…
ずっと我慢して…
親と思っていた省吾様に…
娘が戻ってきて…
淳…」
「馬鹿か?お前は…」
そこへ美紀が現れて
「淳!馬鹿だよ…
なんで、なんで、我慢する
必要がある?
寂しいなら…何故…
皆に抱き着いていかない?
いいか?婦長はお前の母だ!
私はお前の姉だ!!
そして詰所の皆は…
お前の姉妹だ。
それを…忘れるな…
絶対に、死んでも…
忘れるな…
分かったか?」
美紀はしっかりと淳を抱きしめて
「我慢はよくない…
我慢するな…」
そう言って涙をこぼす。
「はい…」
省吾の検査入院の間結花とゆりは
省吾の世話を焼く。
「お父さん、嫌いなもの
何で残すのよ?
食べなきゃだめじゃない!!」
「ちょっと…お父さん!!
お薬はきちんと飲まないと駄目でしょ?」
「お父さん!!
今日は絶食でしょ?
何?これは??」
「ははは…すまん…」
「すまんでは…ないでしょ?」
常にゆりと結花に怒られている省吾…
これが普通なら省吾の怒りに触れるのだが…
はらはらしながら見ているスタッフを尻目に
「お父さん!!」
結花とゆりは事あるごとに角を出している。