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砂の人形
第3章 過去の残り火
 途端に、テルベーザは私から手を放してしまった。顔を背けて、寝台の横に脱ぎ捨てていた服に手を伸ばす。

「貴人の付添は騎士の職務ですから」

 それは随分前に、私が言った言葉。無邪気にあなたの後ばかり追いかけていた頃。今はもう、純粋には喜べない。

「あなた、そんなこと言って、またお父様の側に付くつもりじゃないでしょうね」
「心外ですね。僕はこれまで一度もサルーザ様のために何かしたつもりはありません。全部、あなたのためです」
「じゃあ、もし万が一捜索隊に見つかったときには、あなたが私を誘拐したと言い張るわよ」
「構いません」
「あなたがこの宮殿を追放になったって……助けてあげないから」
「結構です。僕が先導していれば見つかるようなこともないでしょう」
「その言葉、信じていいんでしょうね?」

 こちらを振り返った彼の目を見ることはできなかった。でも頷いたのは分かった。
 信じていいわけない。この人が、私の期待通りに行動したことなんて一回もないのに。そんなのわかってるのに、唇は私を裏切った。毎日、だらしなく喜ぶ体と同じように。愛してくれない男の愛撫に媚びる腰のように。

「……では、テルベーザ。一緒に来てちょうだい。これから、ルニルカンへ向かうわ」
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