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砂の人形
第3章 過去の残り火
 そんなのいいのに。守ってもらわなくたって、私これまでひっそりやってきた。そういうの得意なのよ。死んだふりして一人大人しくしていれば、誰も目くじら立ててこないのに。見上げると、テルベーザは不満げに口元を歪めて明後日の方向に視線を向けていた。

 きっとテルベーザが満足していないのは、彼自身の境遇なんだわ。砂漠の熱さと渇きから遠ざかるために私の騎士になったのに、今度は孤児王女の世話役としてみんなに馬鹿にされているんだもの。

「……じゃあ、私は立派な王女にならなくちゃね」

 それで、テルベーザを守ってげる。そこまでは口に出さなかったけど。

「そしたら義母様や義妹たちみたいに堂々と騎士に命令できるでしょ、水を汲んでらっしゃいとか、お菓子をもってきなさいとか」
「そのくらいの頼み事なら、今の務めよりずっと楽でいいですね」

 テルベーザの視線が私に戻ってきて、それから、わずかに口角が上がった。彼はあまり表情豊かな方ではなかったけど、たぶん笑ったのだと思う。私も笑顔になった。

「私本当はすごくわがままなのよ。そんなこと言えないくらいこき使うわ」
「大丈夫です。僕はこれで働き者ですから」

 それは、つまりそういうことだと思っていいかしら。私のそばにいてくれるってこと……状況さえ変われば。
 でもねテルベーザ。私にもそんな力ないのよ。
 これまで、お父様がつけてくれた騎士や侍女とうまくやっていこうと努力したわ。でもね、名のある騎士は義母様たちに取られちゃうし、侍女は……義母様たちの騎士にいじめられて、宮殿を出て行ってしまうの。いつも。いつも。盗賊上がりのあなたなら、義母様たちがほしがったりはしないと思うけど。それでも、そばにいないと不安なの。これまでだって随分たくさん失くしてきたから。こんどこそ、つなぎ留めたかった。

 それから、半年ほど経った頃。私は何も変えられなかったけど、テルベーザは違った。功績を立てた騎士だけが推薦される闘技会に参加することになった。会には王族だけでなく、アルムカン中の名士がこぞって見物にやってくる。彼らの目当ては主に、会の後の宴にあるようだけど。
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