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砂の人形
第3章 過去の残り火
 カアラというのは、私の侍女のことだった。面と向かってそう言われるまで気づかなかった。二人が付き合っていたなんて。私は全然、テルベーザのことを知らなかった。

「……ですが、考え直した方がいいでしょう。第二離宮のペテ様……国民からの評価も高いと聞きますし、色狂いの噂も聞きませんからね。年もそこそこ離れていますし、まあ可愛がってもらえるでしょうから」

 テルベーザが何を言っても、私にはもう聞こえなかった。テルベーザが誰か別の人のものになるなんて、想像したこともなかった。いつだって……傍にはいてくれなかったけど、私のために動いてくれていたから。闘技会だけじゃない。他の騎士が休んでいる間も、あなたは私の名前の元で、民のために働き続けてくれた。だからみんなが少しずつ、私のことを評価してくれたんだわ。あなたを通して。

 だけど思い返してみれば、それだけだった。テルベーザと私。私たち何も思い出がない。そばにいてと頼んで、断られて、いつか堂々とできる立場になればと、来ない日のことを約束してきただけで。それだってきっと、彼にしてみれば口約束に過ぎなかったのかもしれない。テルベーザには、初めから私との約束を守るつもりがなかったんだわ。

 そう気づかされても。繰り返し記憶の中に浮かんでくるのは、あなたのその緑色の双眸。私と話す時。遠くを歩いているのをお互いに気づいたとき。あなたの瞳はじっと私を見つめてくれた。あの眼差しが好きだった。そう伝えておけばよかった。

 でも結局、テルベーザには何も伝えることができないまま、私はペテ様と婚約を結んだ。だってそしたら、テーゼを取られずにすむもの。カアラは侍女として私に同行させるから。
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