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新しい生活
第10章 真夜中の臨界点
何度も続く、波の様なうねりに身を任せていた。
身体中から、うっすら汗が出ているのが解った。


「ね…そろそろ…帰らせて…」鄭さんに小声で言った。

底無し沼の様な快楽とは、まさにこんな事を言うのだろうか…とぼんやり思った…


江田さんは熟睡をされているようだった…
ソファに置かれた洋服類を取り、別室で着替えた。
身体中から、男性の匂いが離れない様であった…


着替えて部屋を出ようとした時に、鄭さんが後から

「送っていきますよ…こんな夜中になんて、危ないですし、タクシーだって捕まらないと思いますよ…」と言われた…柔らかくお断りをしたが、結局送って頂く事になった。


鄭さんの運転は、若い歳には、珍しく丁寧であった。

「家の近所まででいいですよね…、1時間位で着きます」と先ほどとは、変わって丁寧な口調であった。

「ええ…はい、すいません…」と短く返事をした。

車内で何を話していいか、解らず黙っていた…

綺麗にされている、4ドアの車の助手席で、私は静かに座っていた…

「最後に…もう少し…いいですか…さっきも途中だったし…明日、お休みですよね?」

信号待ちをしている時に、不意に言われた。

なんて、返事をしていいか、正直、迷っていた…








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