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第2章 　身の上話

　「いいのよ同じ時間に同じ方向に走っていて誰かに怪しまれるよりましよ、待っているわ、それより念を押すようだけど本当に喫茶店なのね？」
　「本当だよ変な所へ連れ込まないよ。約束するよ」
　「それならいいわ明日を楽しみにしています、おやすみなさい」
　その夜征男は仮眠室で浩美が念を押した言葉がすごく気になり、あの時冗談にでもラブホテルへ行こうかと一気に迫った方が今後の展開が楽だったのではないかとか考えなかなか眠りに就けなかった。
　その日征男は浩美が約束の場所へ向かってスタートするのを事務室からガラス越しに覗いていた、浩美も車に乗る前に征男が居る筈の駅事務室に眼をやり、そこに手を上げている征男の姿を認めたが堂々と手を振る訳にもいかずに征男の方へ向かい右手でドアを、左手を胸の辺りまで軽く上げて笑みを浮かべて車に乗り込み目的の駐車場へと走り出した。