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渇いた人妻たち
第2章  身の上話
 「これは失礼しました、お名前はお聞きしております、何時も綺麗なお花を生けていただきありがとうございます」
 「どういたしまして」
 「先日お宅にご挨拶に伺ったのですがお留守だったので失礼しました」
 「お名刺が郵便受けに入っていましたわ、こちらこそよろしくお願いいたします」
 竹箒とごみ入れを持ったまま初対面の挨拶を交わしたのは何十年も前の彼女の親の代から駅の待合室の片隅に生け花の奉仕をしてもらっている駅前の豪邸に住み自宅と外でも何箇所かで生け花教室を開いている浩美であった。

 征男はそれまで生け花奉仕は聞いていたがどうせ世話好きの田舎のおばさんだろうと想像していたが、最近余り見かけなくなっている彼女の和服姿の魅力に異常な興奮を覚え[こんな所にこんな素敵な人が居たのだ]と胸をときめかせていた。
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