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渇いた人妻たち
第2章  身の上話
 この夜が初対面の彼女の口から突拍子もない言葉が飛び出したのだ。
 「貴女のような魅力的な方を妹扱いできるとは夢みたいで嬉しいよ」
 そのとき征男に潜んでいる好色な虫が頭を持ち上げ始めていた。
 「うわー 嬉しいわ、今まで親から私に代わってから十年程花を生けさせてもらっているけど、吉川さんのような若い素敵な人がこの駅に来られたのは初めてでその素敵な人を兄さんのように思えるのは光栄な事だわ」
 「僕の方こそ光栄に思うけど、ご主人に悪いんじゃあないかな?」
 「では誤解されないように機会をみて一度連れて来るわ」
 そんな会話の後で家庭環境のような話に移り、彼女は旧家の一人娘として生まれ何不自由なく育ち、養子をとりその夫は鉄工所に勤めており、いつも全身油に汚れその匂いが沁み込んで風呂に入っても落ちなくて、蒲団にまで匂いが付いて困っているとか、子供の特技とか、もう一つ、彼女の生まれる前から縁もゆかりも無いお婆さんを住み込みのお手伝いさんとして家族のように面倒見てあげているとか、一通り話し終えた浩美は、
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