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渇いた人妻たち
第5章 専務夫人
ここからが第5章です。
 征男と浩美が不倫という自らの立場を忘れ、一匹の雄と一匹の雌となって、お互いの肉体を貪り合い、一糸纏わぬ裸体を絡め合い、他言する事のできない秘密の間柄になってから半月ほどが過ぎた夏本番のある夜、二度目となるカラオケ会に招かれた。
 その夜は既に前回の時の言動で、すっかり打ち解けた雰囲気でのスタートとなり、その日、明美は征男の気を引こうと浴衣を着て現れ自分自身をアピールしようと、別に限った話も無いのに征男の近くに寄りたがるような動きをしていた。
 やがて言い合わせたように、アルコールに弱い、夫達が酔ってテーブルに伏すのをその妻達は待ち兼ねていたようで、[今からが快楽の園になるのだわ]と言わんばかりにそれぞれが淫らな事を想像して、獲物を狙う野獣のように眼を輝かせ、征男の傍に群がり、その隙を伺っていた。
 征男は前回の時に踊りとは名ばかりで、抱き合ったり押し付けあったりがメインだったので、そんな事をするのに何も立ってしなくても、この畳の上で寝た状態でするほうが楽なのに、と勝手な考えをしていた時、浴衣姿の明美が無言で近付き、征男の手を引き踊る事になった。
 「前回は嬉しかったわ」
 「何が?」
 「気持ちが良い事をしてくれたじゃない」
 「憶えていたの?酔っ払っていたんじゃなかったの?」
 「あの時、正気だって言ったでしょう?」
 「そうだったよね、僕の方こそお礼を言わなければならないよ、あの時の感触今でも憶えているよ、それより今夜の浴衣姿は一段と悩ましいよ」
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