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−紅の雫−
第1章 −勝利の影で−
「……痛い…ですよね?」
そう声をかけられ
苛立ちと悔しさで
ウィルの方を睨もうとした。
けれど
思う様に動かない瞼に
初めて腫れているのだと分かる。
冷たい何かが
口元に滑らされ
ビクンと身体が反応した。
「…血が…」
ウィルの指先が
アレンの口元の傷を撫でる。
何処にこんな力が残っていたのか
と思う程に顔を反対側へと背ける。
「!!ごめんなさいっ。痛かったですか?」
慌てたウィルの声が
やけに滑稽に思えて
フッと笑みを零した。
「…痛い…ですが…もう…何処が痛いのか…わかりません。……貴方は……一体…何が知りたい?」
辿々しく紡がれるアレンの声に
ウィルは眉間に皺を寄せた。
「…僕は…貴方を…アレンさんを助けたい。こんな事を言っても信用出来ませんよね?僕は…この戦争には反対でした。」
そこで一旦息を吸い込み
ウィルの話は続いた。
「僕は…シエル出身です。訳あってこの国へと移り住んだのですが…。憧れていました。シエル王宮の…方達に。いつか僕も、シエルの騎士団になると…夢を描いていました。あ……ダリスさんは…まだ捕われていません。けれど…時間の問題かと。」
そう早口に言われて
少しづつ言葉を理解していく。
アレンの指がピクリと動いた。
そう声をかけられ
苛立ちと悔しさで
ウィルの方を睨もうとした。
けれど
思う様に動かない瞼に
初めて腫れているのだと分かる。
冷たい何かが
口元に滑らされ
ビクンと身体が反応した。
「…血が…」
ウィルの指先が
アレンの口元の傷を撫でる。
何処にこんな力が残っていたのか
と思う程に顔を反対側へと背ける。
「!!ごめんなさいっ。痛かったですか?」
慌てたウィルの声が
やけに滑稽に思えて
フッと笑みを零した。
「…痛い…ですが…もう…何処が痛いのか…わかりません。……貴方は……一体…何が知りたい?」
辿々しく紡がれるアレンの声に
ウィルは眉間に皺を寄せた。
「…僕は…貴方を…アレンさんを助けたい。こんな事を言っても信用出来ませんよね?僕は…この戦争には反対でした。」
そこで一旦息を吸い込み
ウィルの話は続いた。
「僕は…シエル出身です。訳あってこの国へと移り住んだのですが…。憧れていました。シエル王宮の…方達に。いつか僕も、シエルの騎士団になると…夢を描いていました。あ……ダリスさんは…まだ捕われていません。けれど…時間の問題かと。」
そう早口に言われて
少しづつ言葉を理解していく。
アレンの指がピクリと動いた。