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向日葵
第11章 想い愛
 格好良いね。
貴女も。 
別れ際に素敵な言葉を残せる人は、本当に格好良い。

 見習わないと…

 「貴女ごと愛しいわ」

 「えっ?」

 「貴女に宿った命も、貴女と同じくらい愛しい。
幸せになって欲しい。

 私には、出来ない事だもの。
貴女に子供を授ける事は。
だから、貴女のお腹に命を授けてくれた旦那様には嫉妬しちゃう。
嫉妬するけど、私に出来なかった事を全て託せる。
醜いペニスなんて言ったけど、私はそんなペニスに嫉妬するの。
子宝を運んでくれる性を持てなかった自分にね。
人を愛する度にどうにもならない性に憤りを感じた。

 でも、もうその嫉妬からも解放されなきゃいけないわね…
貴女が最期に教えてくれたわ。

 愛する人の幸せを願ってあげられる私になりたい」


 「すみれ…」

 貴女は立ち上がり、私の元に歩み寄り、もたれかかった。
私は、貴女の頬に涙が伝うのを指で拭い、髪を撫でた。
『愛しい、愛しい』と口にしない言葉を指先に込めて、貴女が泣き止むまでそうしていた。

 「………ママになるんだから強くならなきゃ!
愛をいっぱいあげるのよ。
私の分はその子に回せる」

 「バカ!すみれのバカ!
愛は溢れてるから分けなくてもいいの!」

 「そっか…
溢れてるんだね」

 「そうよ。
溢れてるの」


 貴女の優しい言葉が私の心に滲みわたる。



 
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