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龍、人生の絆
第9章 それぞれの過去
佐知子は外を見た。

龍が外で腕組みをしてこちらを見ている。

「何してるの?」

窓を開けて佐知子は龍に尋ねた。

「佐知子ちゃんが
外を見るの待っていた。」

「ばっかじゃないの?」

「そうだね俺は馬鹿だね。」

龍は笑って家の中に入った。

そんなやり取りが続いた日。

龍が佐知子に語りかけた。

「佐知子ちゃん
俺の会社に
就職しないか?
就職してくれたら
自由に外に出てもいいぞ」

「え~?!無理…」

「何でだよ?」

「だって私は
薬やっているんだよ。
そんな人間が
仕事出来る訳ないじゃん!」

「今は薬やっていないだろ?
それに何事も
やってみなけりゃ分らない。
仕事は誰でも
最初は分からないし
出来ないのは当たり前。

でも、それが出来たら
給料も貰えるし
今度は何にも頼らずに
自分の欲しい物が買える。
それに会社では友達も出来る。」

「薬やっている人間なんか
誰が相手にするものか!」

「ところが相手になるんだな。
何故なら佐知子ちゃんと同じ
境遇の人間が沢山いるから…」

「嘘っ!」

「本当…」

佐知子は信じられないと

言う表情になった。
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