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龍、人生の絆
第9章 それぞれの過去
「皆、聞いてくれ。
今日からここに
新しい仲間が
増える事になった。
佐知子ちゃんだ。
皆、宜しく頼むな。」
そう言うと庶務課の
全員が一斉に立ち上がり
「ようこそ!!
いらっしゃい!!」
と、割れんばかりの
拍手と共に佐知子を迎え入れた。
佐知子は泣いていた。
「龍さん、佐知子は…
此処にいても良いの?」
「佐知子ちゃん、
此処が君の新しい職場で
このメンバーが
君の新しい家族だ。」
佐知子は泣き崩れて
龍にしがみついた。
庶務課では麻薬患者が多く在籍する。
それぞれが苦悩の道を
乗り越えてこの部署を形成している。
主任の敬三は
佐知子を暖かく迎え入れた。
そしてそこに同じ
麻薬患者だった正治がいた。
二人は互いに引かれていき婚約した。
ルナの入社発表の場で敬三は涙した。
佐知子が…あの佐知子が…
庶務課でも重度の患者だった。
幾度となく薬のショックで倒れた。
その度に正治を中心に
全員で佐知子を支えた。
幾晩も佐知子の為にと
全員が庶務課に泊り込んで
看病した事があった。
佐知子は一人暮らしである。
あえて龍は佐知子に
一人暮らしを命じた。
仲間を信じて…
その為の一人暮らしである。