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第9章 それぞれの過去

ある時、佐知子は急に倒れて

優子がびっくりして救急車を呼んだ。

しかし、敬三は救急隊員に

「単なる貧血ですから大丈夫です。」

と追い返したのである。

流石に優子は怒った。

人命に関わる事であるから

庶務課が取った態度は

明らかにおかしい。

「もし佐知子ちゃんに
何かあったら貴方達
どうするつもりなの？
責任取れるの？」

優子は詰め寄った。

しかし敬三は穏やかに笑って

「うちの子は全員
佐知子ちゃんを信じています。
ですから佐知子ちゃんが
立ち直れるまで
ヤク関係で病院にお世話に
なるつもりはありません。

優子主任、大丈夫ですよ。
うちの子達を
信じてあげて下さい。」

と笑っていた。

基本、各部署には

責任者が在籍して

他の部署の人間は

部署の決定事項には

口出し出来ない事になっている。

今回の事も優子は部署が違う為に

敬三の決定には口出し出来ないのだ。

結果として庶務課では佐知子を見事に

蘇らせる事に成功した。

全員が佐知子の看病をして

交代で泊り込んだ。

しかし、仕事は決して遅れる事無く

処理していった。