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あなたが教えてくれたこと
第7章 7
遼平の言うことが真っ直ぐ過ぎて逆に返すことが出来なかった。
反論をすることは容易でも、それをしてしまうと自分が陳腐なものになってしまいそうだった。

「それに紫遠は勘違いしている」
「勘違い?」
「あなたは智哉君を守らなくてはと思っている。けど彼はあなたが思っているほど弱くない。前に彼が部屋から出てこなかった時があるだろ?」
「ええ……」

それは正嗣にゲームのことがバレて叱られたときのことだ。
智哉は心が傷付いたのかしばらく部屋から出てこなかった。
遼平は何かメッセージを送り、それからしばらくしたら智哉が出部屋から出てきたのを覚えている。

「あの時俺は一行だけのメッセージを彼に送った。『お母さんは君が守ってやれ』とね」
「えっ……」

その一言は全体像が見えないパズルを一挙に紐解いた。
どんな魔法の言葉で閉ざした息子を勇気づけたのかと、ずっと不思議に感じていた。
それにあの日以降、智哉は逞しくなった気もしていた。
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