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女医の診察日誌
第10章 看護師長の涙
 彼女は一気にそれを話し、更に強く勇次に抱き付き、声を上

げて泣き始めていたのである。

「よしよし、いい子だから泣かないで、僕は残念だけど目出度い
話じゃないか、それに余り声が大きいと、隣に聞こえるよ」

 彼は先程からずっと彼女の背中を優しく擦り続けていた。

彼女はほんとに辛いのか、大粒の涙を流し、それは、勇次の腋

の辺りから、ベッドにまで流れ落ちていた。

「でも辛いわ・・・貴方と別れたくないの・・・・・」

「真由美、これを運命と云うのだよ、死に別れるのではないので、
亦いつの日か、会える時もあると思うよ」

「だって遠くへ行ってしまうのに、会えないじゃないのよ」

「たまに里帰りもあるじゃないか」
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