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女医の診察日誌
第12章 訃報の後に
「理恵、君が買ってくれた、この車の乗り心地はどう?」

「私のより、ずっと大きい感じがするし、室内も広いわ」

「僕は昔から、大きい車が好きなのだよ、理由は、大きいと
万一事故に遇っても、自分の怪我する率が低いからね」

「そうね、貴男に万一の事が有ったら、私は生きていけないわ」

「この車に乗っている時は、何時も君を思い浮かべながら運転
しているからね、偶には全裸の姿もだよ」

「も~、そんなこと考えて運転していると、危ないわよ」

「理恵、これからは右手をこの肘置きに乗せるのだよ」

「こうなの?」

 勇次は、そこに乗せられた手に、自分の左手を重ねた。

彼女は、それに応えるために、手のひらを反して、その手を握

り返してきていた。
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