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白薔薇の眠り姫 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第1章 白薔薇姫とワルツを
「舞踏会に?」
梨央は頷く。
そして、悔しい気持ちを思い出したように口を尖らせながら呟いた。
「…お父様、お帰りになったのにずっとお忙しくて梨央のお側にいて下さらないのです。…毎晩毎晩夜会ばかり…」
「…伯爵は公私ともにお忙しい方ですからね。それに人気のある方ですから、夜会のお誘いは引っ張り凧と伺っておりますよ」
「だからお願いしたのです。梨央を舞踏会に連れて行って、と。…そうしたら…」
「そうしたら?」
梨央はその愛らしい頬を膨らませる。
「…ワルツが踊れるようになったらね。…と仰って、連れて行って下さらないの」
その可愛らしい表情に縣は思わず声を出して笑った。
「なるほど!それは梨央さんがご機嫌斜めになられるのも無理はない。舞踏会…行かれたいですか?」
梨央は瞳を輝かせる。
今日の梨央は本当に表情が豊かで愛らしい。
「はい!絵本で読んだシンデレラみたいに、舞踏会に行ってみたいのです!」
「梨央さんはシンデレラどころか、本物のお姫様ですからね。あと十年もしたら舞踏会に行かれますよ。…そして皆が梨央さんのお美しさに驚かれるに違いありません」
縣は梨央を見つめながら、年ごろの娘らしく美しく成長した梨央を想像してみる…。
それは予想外にときめきを誘い、縣はどぎまぎしてしまった。
…大きくなった梨央さんをエスコートできるのが自分だといいな…。
少年のように夢を見る。
見つめられ、恥ずかしそうに顔を伏せ、テディベアをぎゅっと抱きしめる梨央に、縣は優しく笑いかける。
「…間違いなく梨央さんが一番お美しい姫君でしょう…」
梨央は褒められた嬉しさに恥らいながら笑みを返す。
そして、改めて真剣な表情をすると可憐な唇を開いた。
「…あの…縣様、お願いがあります」
「何ですか?何でも言って下さい。僕にできることならなんでもいたしますよ」
縣は嬉々として尋ねる。
「…ワルツを…梨央に教えてください…」
梨央は頷く。
そして、悔しい気持ちを思い出したように口を尖らせながら呟いた。
「…お父様、お帰りになったのにずっとお忙しくて梨央のお側にいて下さらないのです。…毎晩毎晩夜会ばかり…」
「…伯爵は公私ともにお忙しい方ですからね。それに人気のある方ですから、夜会のお誘いは引っ張り凧と伺っておりますよ」
「だからお願いしたのです。梨央を舞踏会に連れて行って、と。…そうしたら…」
「そうしたら?」
梨央はその愛らしい頬を膨らませる。
「…ワルツが踊れるようになったらね。…と仰って、連れて行って下さらないの」
その可愛らしい表情に縣は思わず声を出して笑った。
「なるほど!それは梨央さんがご機嫌斜めになられるのも無理はない。舞踏会…行かれたいですか?」
梨央は瞳を輝かせる。
今日の梨央は本当に表情が豊かで愛らしい。
「はい!絵本で読んだシンデレラみたいに、舞踏会に行ってみたいのです!」
「梨央さんはシンデレラどころか、本物のお姫様ですからね。あと十年もしたら舞踏会に行かれますよ。…そして皆が梨央さんのお美しさに驚かれるに違いありません」
縣は梨央を見つめながら、年ごろの娘らしく美しく成長した梨央を想像してみる…。
それは予想外にときめきを誘い、縣はどぎまぎしてしまった。
…大きくなった梨央さんをエスコートできるのが自分だといいな…。
少年のように夢を見る。
見つめられ、恥ずかしそうに顔を伏せ、テディベアをぎゅっと抱きしめる梨央に、縣は優しく笑いかける。
「…間違いなく梨央さんが一番お美しい姫君でしょう…」
梨央は褒められた嬉しさに恥らいながら笑みを返す。
そして、改めて真剣な表情をすると可憐な唇を開いた。
「…あの…縣様、お願いがあります」
「何ですか?何でも言って下さい。僕にできることならなんでもいたしますよ」
縣は嬉々として尋ねる。
「…ワルツを…梨央に教えてください…」