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太陽の下で
第6章 小望月
部屋に入り、広野さんを座らせる。

どうするのが彼女が安心できる環境かわからなかったけど、おばさんから1人にしないようにと釘を刺さされていたので、彼女に家を貸して僕が実家や友人の家に泊まりに行くと言う選択肢は消えた。

母がいれば、実家にと言う選択肢もあったのだが、あいにく祖母と旅行に行ってしまって、実家にいるのは父だけだ。

女嫌いと言っても僕も男だ。

寒くて窓も閉め切っているし、この家は単身者用で狭いし、こんなにそばにいたら怖いんじゃないだろうか。

お湯を沸かしながらそんなことを忙しなく考えていると、すすり泣く声が聞こえてきた。

「やっぱり僕と2人で家の中は怖いですか?」

「迷惑…て、ごめ…なさい。わたし…ます」

何かにハッとしたようにそう言うと、フラフラと立ち上がって玄関に向かって歩きだしてしまった。

「待ってください。家に帰るんですか?それなら送って行きます。ご両親にわかってもらえそうですか?」

「もう私が生きてる場所がないのでいいんです。せんせいありがとう。」

さっきまで泣いていたのに、わずかに笑顔を作ってそう言う。

目の前の命が消えてしまうかもしれない、そんな恐怖を人生で初めて感じた。

怖がらせるかもしれないとか、女の人が苦手だとか一切どこかに置き忘れて、ただただ本能で、彼女を抱きしめた。

それは母性に近い感情だったのかもしれない。
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