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薔薇色の鎖
第1章 囚われる
「オジサンだなんて・・・
10歳なんてそんなに変わらないですよ。
でも、えっと・・・葛城さんから見たら私って子供に見えちゃいますよね?」

そういって見上げると、思わずドキっとした。

さっきの爽やかな笑顔とは違い、笑顔の彼からは妖艶さを感じてしまう・・・そんな表情で彼は笑って言った。

「聡って呼んでよ・・・
僕は玲奈って呼んでいい?
それと玲奈ちゃんは子供じゃないよ。
ちゃんとした女性だよ。」

そして彼の指先が、私の髪の毛を撫でる。

思わず、その妖艶な表情の彼から目を逸らせず、思わず見とれてしまっていた。

「今日は怖かっただろうし、きっと不安だろうから。
もう事情聴取も終わったし、今日のところは帰ろう。
送っていくけど、玲奈ちゃんは家はこの近く?」

そう言う彼は、さっきの優しい表情に戻っていた。

一体なんだったんだろう・・・一瞬目が離せなくなって私は彼を見つめることしかできなかった・・・

心のどこかでは解っていて、本能が警鐘を鳴らしていたんだと思う。

この男は危険だ、この男には近づいてはならない・・・と。

でも、私は抗えなかった。

彼の魅力に。

そして、彼の魅力に囚われて苦しむことも・・・まだこの時の私は全くこんな感情に囚われてしまうなんて、想像さえもしていなかったんだと思う。
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