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淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第2章 漆黒の扉に導かれて
「ゆっくり決めてよ。私、今日締め切りの仕事が終わって明日からゆっくりだしさ」
梨美の、ちょっとした気づかいを入れながらも基本的にはお互い自分のペースで自由に、という雰囲気がいつも楽で、心地良い。

「私、クラブハウスサンドとブルーベリーミルクにする」
「怜香はもっとさぁ、お肉とかがっつり食べないとさ、それ以上痩せてどうするのよ」

一見すると、私は学生時代と変わらない体型を保っているように見える。
しかし実際は着実に身体に緩みが出てきていて、衣服を脱げば20代の頃にはなかった、つまめるほどの肉がついてきている。それはほんの些細な変化かもしれないが、自分の身体には明らかに年齢が現れてきている。

しかし同時に、20歳前後の時とは異なる、30代前半ならではの魅力が出てきている、とも感じる。
張りをもった乳房に徐々に濃い色味を増してきた乳首は、もう長いこと男性に触れられてはいないものの、まだまだ男性を魅了するほどのものであるのではないか、などと思うこともある。

20歳前後の頃の私の身体は、まだ幼子のようなものだった。無駄な肉が一切ついていない、約20年生きてきたとはいえ世の中の何たるかもほとんどわからず、ただ目の前のことに精一杯生きていたあの時代。

30を越えた今、あの頃よりは多少経験を積み世界のほんの一部分を知ったような気でいるが、そんな私にもきっとまだ知らない世界がたくさんある。
喜び、快楽、悲しみ、寂しさ、不安、不満…そんなあらゆる感情の底の果てには何があるのか、私はまだ知らないでいる。
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