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淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第5章 青黒い部屋 淫蕩の血
翌日。いつも通り夕方5時に仕事を終え、会社を出て駅へ向かう。電車に乗って自宅ではない駅で降り、駅前の繁華街を抜け、しばらく歩く。たどり着いたのは、「Signal」の扉の前だった。

また、来てしまった。ここへ。私は、このバーへ何を求めに来たのだろうか…?
重い扉を開けて中に入ると、前回と同じ薄暗い店内に飲み込まれる。

「いらっしゃいませ。…あ、怜香さん!どうぞ、こちらの席へ。」
「…どうも、こんばんは。」

皆瀬さんが、屈託のない爽やかな笑顔で迎えてくれる。カウンターの席に通され、甘めのカクテルをオーダーする。

「また来てくださって、ありがとうございます。この前は大丈夫でしたか?」
「あの…先日はご迷惑をおかけしてしまったようで、本当にすみません。これ、お詫びにはならないかもしれませんが、よかったら皆さんでどうぞ。チョコレートです。」

「そんな、あやまらないでください!迷惑なんてことまったくないです。こちらは差し入れとして後でいただきますね。ありがとうございます。あのときは、冬木さんが心配そうに介抱していて。」
「あっ…、そうみたいで…。本当、初めて来たお店なのにあんなに酔って動けなくなってしまうなんて。普段、飲み過ぎることなんてめったにないんですけど…。冬木さんという方にも、お礼を言わないといけませんね…。」

「そうだったんですね。あの日は、けっこうお疲れだったみたいですね。冬木さんは、とっても優しい方ですよ。けっこう前から、このお店に来てくださっている方で。」
「そうなんですか。よくいらっしゃる方、なんですね。本当にもう、私、お酒には気をつけないと…。」
「あはは。でも、たまにハメ外してみるのもいいですよね。そういう日も大事だと思います。今日のカクテルはアルコール控え目なので、飲みやすいですよ。」

濃いピンクと赤を混ぜたような色をしたベリーのカクテルを一口含むと、甘酸っぱい香りとともに深く甘い味が喉を通って、身体に染み渡る。今日もSignalのマスターは奥の方で仕込みをしているらしく、お客の相手はもっぱら皆瀬さんが担当しているようだった。
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