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淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第6章 見知らぬ人間
幼い頃、近所の友達と外遊びをしている時や部屋に1人でいる時、突然性的な空想が浮かび、止まらなくなることがあった。

セックスという単語を知らなかった頃、まだきちんとは見たことのない、大人の女性や男性の性器を思い浮かべると、身体がじんわりと熱くなった。恋人同士の大人たちは、裸になってどんないやらしいことをするんだろう。
素っ裸の男性と女性を思い浮かべては、未知の行為に想像を巡らせ、幼い身体を持て余していた。

大好きな、優しい夫がいるのに。このまま平凡に暮らしていれば、平凡で穏やかな幸せが続くはずだったのに。私は身体の疼きに誘われるまま、破滅と隣り合わせの生活を送っている。

完ぺきに隠しているつもりでも、いつどこから夫に知られるかわからない。もしかしたらあの淫らな夜のことをすべて知られていて、私に突きつけるタイミングを計らっているのかもしれない、そんな被害妄想まで浮かんできて、背筋が寒くなる。

妻が他の男と体を重ねたと知ったら、さすがの真仁も激昂するに違いない。怠惰で堕落した人間は特に嫌う性格だ。その場で離婚を突きつけられるかもしれない。そんなことになったら、私は…。
燃えるような恋愛感情はもうないけれど、真仁は大事な家族で、人生の伴侶であり、支えである。真仁に糾弾され軽蔑され、嫌われ、私の元から去っていったとしたら…。私の心は間違いなく破滅する。その恐怖が強大すぎて、そうなったときの自分をまったく想像できない。

私はなんてことをしてしまったんだろう。起床し鏡を見ると映っているのは紛れもなく自分の顔であるはずなのに、見知らぬ人間のように見えた。
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