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淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第6章 見知らぬ人間
家に帰ると、パソコンを開き、イヤホンをつけて購入したCDを再生する。ショパンの悲しげなメロディを、こんなに力強く弾くなんて。

つい昨晩のことが、まざまざと蘇る。非情な縄で縛り上げられる辛さと快楽が、津波のように同時に襲ってくる感覚。拘束から解き放たれ、男性器に体内を貫かれる感触。

身体と頭がそれを再生すると、心臓から下半身へ稲妻のような電流が走り、子宮が収縮する。
私の身体を蹂躙する、冬木様の真っ黒な瞳。心臓がドクドクと脈を打ちはじめる。身体と心が、あの快楽を求めて泣いている。

「怜香―?ちょっとこの服の組み合わせ変じゃないか見てほしいんだけど?」

リビングから、私を呼ぶ夫の声がする。

本当に大切なものを、すべて失うかもしれないのに。快楽に捕らわれ行動を制御できない女の身体が、ここにある。

…本当に大切なものとは、何だろう。私にとって大切なものは、一体。
一度知ってしまったら、もう戻れない。

どうしようもなく、冬木様の支配が欲しい。
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