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淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第7章 内側からの崩壊
コンサートが終了し、観客が帰り支度をはじめる。地面を踏みしめて立ち上がると、ほっと安堵する。私には、帰らなければならない日常がある。大丈夫、愛する夫と暮らすあの家で、またいつも通りの毎日を送ることができるはずだ。外へ出ると、夕暮れが近くなっていた。

怜香。
私を呼ぶ声が聞こえたような気がして後ろを振り向くと、そこにいたのは、先ほどステージで見たばかりの冬木如人だった。

「怜香。まさか、来ていたのか。ステージから姿が見えた。」
「…あ、ごめんなさい、私、勝手に…。たまたまサイトで、コンサートを知って…」
この男性を前にすると、私は途端にしどろもどろになり、何もできない小さな子どものようになってしまう。

「来てもらえて、よかった。」
「あの、すごかったです、ピアノ、私も久しぶりに弾いてみたくなって…」
「そう。怜香も、ピアノを。」
ふいに、背中へ指が1本触れた瞬間。体の深部が揺れ、最奥部の、子宮が震えた。

………っっ……

一瞬のうちに身体が痺れ、息が詰まり、言葉を発することも動くこともできなくなる。まるで、鋭い矢に狙いを定められた小動物のように。
射抜かれたら一撃で命を失うことがわかっているのに、絶対的な存在に狙われ、足がすくんで動けない。

命を失うかもしれないのに。それなのに、狙われたことが嬉しくて、麻薬に侵された中毒者のように、悦びながら涎を垂らし足元にひれ伏してしまう。

「少し、話しますか?どこか、落ち着けるところで。」
「はい…」

うつむいたまま返事をする。横にいる男性の顔を見ることができない。
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