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淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第9章 閑古鳥の闇
「今日は、閑古鳥の予感がします。僕もちょっとだけ飲んじゃおうかな。」
連休明けの月曜日だからか、店内にお客はいない。ウーロンハイ片手の皆瀬くんと、他愛のない話で盛り上がる。無邪気に笑う少年のような顔と、バーテンダーとしての真剣なプロの顔を併せ持つ彼とは、とても気の合う感じがする。

彼といると話しが尽きず、笑いも絶えない。昔から知っている近所の幼馴染のような気分になる。もしかしたら、彼も同じように感じているかもしれない。アルコールで浮ついた頭が、そんな好意的解釈をする。7つ年上の女の思い上がりでなければ、だけど。

やはり今日は、店には人の来る気配がまったくしない。
3杯目のグラスが空になりかけた頃、わずかに酔いはじめた様子の皆瀬くんがカウンターにもたれかかり、私の方へ体を寄せてきた。整った顔にかかる伸びた前髪が、何だか艶めかしい。

何かを考え込むような、真剣な表情をしている。え、ちょっと、どうしたのよ。急にそんな真剣な顔して、私、馬鹿な女の勘違いしそうになるじゃない…年下の男のすることは、ちっともわからない…
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