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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

 一泊二日の研修は、宿泊施設が併設している研修会場で行われる。
 教育に関する講義や議論が主な内容になっており、他校との情報を共有する場でもある。

 ちょうど教育実習の時期なので、実習生が教採を受けないと嘆いたり、指導案がまともに書けないと憤慨したり、とにかく愚痴ばかりが行き交っていた。
 研修が終わったあとも、明日が休みだということで、「飲みに行こう」と計画している先生方がいたり、観光を計画している先生方がいたりで、ロビーは騒がしかった。
 私は手早く荷物をまとめ、ロビーの隅をそそくさとすり抜け、逃げるように研修会場をあとにした。

 東京行きの新幹線が来るまでにはまだ時間があったので、駅ナカのショッピングセンターでお土産を買おうとしたとき、「今日、里見くんの誕生日だ」と不意に思い出してしまった。
 さすがに、誕生日プレゼントを買わないわけにはいかない。ピアスも貰ってしまったのだし。

 職員全員に行き渡るようなお土産を選んで、別フロアへと向かう。
 何かないかなぁとキョロキョロしていると、ある雑貨屋の革製のキーケースが目に入った。

 そういえば、昔、お兄ちゃんの誕生日プレゼントを選びたい女の子を助けてあげたっけ、と思い出す。ちょうど今頃の時期だった。
 懐かしいなぁ。女の子の予算と家庭の事情に合わせて、合皮製のキーケースを選んだけれど、あのお兄ちゃんは喜んでくれたかな。喜んでくれていたらいいな。

 いやいや、それより里見くんのプレゼント!
 ネクタイ? 財布? 鞄? 時計? んー、何がいいだろう?
 ……まぁ、今一番彼が欲しいものは、リボンを巻いた私なんだろうけど。さすがに「プレゼントはわ・た・し」をやるには年齢的にも立場的にも痛すぎる。

「何かお探しですか?」

 尋ねてきた紳士服売り場の店員さんに、里見くんの特徴や年齢を伝えつつ、久々に浮き足立っているなぁと思って恥ずかしくなるのだった。
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