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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

「小夜、俺と結婚する?」
一瞬、何を言われているのかわからなくて、「うん、する」と頷いてしまいそうな気軽さだった。
「あと九回イクのと、俺と結婚するの、どっちが良い?」
「どっち……?」
「うん、どっち?」
ぐしゃぐしゃな頭で考えることはやはりぐしゃぐしゃなこと。ぐしゃぐしゃな私は簡単に宗介の罠にはまってしまう。
「どっちも、だ……め?」
「十回に増えたよ」
「!!」
本当に勘弁してください。
本当につらいんです。
何なら、そのへんのバナナでもいい。人参でもいい。
このどうしようもない疼きを、収めて欲しい。
「十回頑張る?」
いやいやと頭を振る。
「じゃあ、俺と結婚する?」
またいやいやと頭を振る。
「じゃあ、一年後、俺と結婚してくれる?」
宗介を見上げる。ベッドサイドの薄明かりが当たる彼の必死な表情に、私は――負けてしまう。
だって、欲しい。今すぐ欲しい。挿入て欲しい。
宗介が、欲しい。
「結婚してくれるね?」
うん、と頷いたのと、とても熱い楔が穿たれるのは、ほぼ同時だった。

