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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第12章 しのちゃんの受難(七)

 ん、受験生? 誠南学園なら、中高一貫だから、もしかして受験生ではない?

「あれ? もしかして、誠南学園中等部?」
「ええ、父の出身が誠南なので、俺も妹も通わざるを得ないという感じで。まぁ、そのおかげで小夜を見つけることができたから、結果としては良かったけど。あ、ケーキ美味しい」

 イチゴは甘いけれど、クリームとスポンジは柔らかく甘すぎない。味がくどくないから、いくらでも食べられそうだ。
 さすが一華堂のケーキ。並ばないと買えないだけはある。

「んー、美味しい」
「コーヒーにも合うね」

 久しぶりに食べたケーキに、私もニヤニヤしてしまう。あー、美味しい。

「――で」
「?」
「朝、何考えていたの?」
「あさ?」
「朝イチのセックスのとき」
「んぐ」

 今、このタイミングで、聞くこと!? 確かに「あとで聞く」って言っていたけど、今じゃなくてもいいでしょ!?
 おばさんたちに聞かれないように声のトーンを落とす。

「セックス以外のことを考えたでしょ」
「……宗介のこと、考えてた」
「俺のどんなこと?」

 うぅ……なんて答えよう。なんて……。
 お、思い浮かばない。しかも、私の嘘なんてすぐに暴いてしまいそうな宗介だ。
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