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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第3章 しのちゃんの受難(二)

 朝、会議室へ昨日の実習日誌を返却しに行った際、私の耳元を見て薄らと笑みを浮かべただけで、里見くんがピアスについて何かを言うことはなかった。
 教師と実習生。オンとオフを間違える里見くんではない。その点は安心できる。

「あ、しのちゃん!」
「稲垣くん、おはよう」

 大学時代のバイト先の生徒が教育実習に来ているなんて、私も歳を取ったものだ。「久しぶりだね、元気だった?」とお決まりの挨拶をして、三週間の実習を激励する。
 稲垣くんも、里見くんと同じくらい、背が伸びた。男の子は大学生になっても成長するんだなぁとしみじみとした気分になるのだった。

 職員室から国語準備室へ向かうときに、スマートフォンが震えた。準備室の壁に掛けてある「在室・不在・学内・授業中・来客中」の卒業生の手作りサインプレートの「在室」を引っくり返して、コーヒーの香りが薄く漂う私の城へと入室する。
 荷物を机に置いてスマートフォンを確認すると、里見くんからのメッセージを受信していた。

『ピアス、思った通りよくお似合いです。日誌のコメントありがとうございました。またよろしくお願いいたします』

 どういたしまして、と呟いて返信はせずに、昨日準備していた書類に目を通す。誤字脱字がないかを確認し終えたら、ファイルに入れておく。授業前に生徒分印刷して配るのだ。
 情報リテラシーについての資料も作ったほうがいいかしら、と思いながら、ケトルにペットボトルの水を注いで、電源をオンにする。お気に入りのマグカップを水切りカゴから取り出して、里見くんからもらったドリップコーヒーをコップにセットする。
 あぁ、いつもの朝だ。
 昨日は邪魔されたいつもの平穏な朝が、今日も始まる。
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