この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
君がため(教師と教育実習生)《長編》
第3章 しのちゃんの受難(二)

「欲しいのは小夜先生のぜんぶです。体だけだと思わないでくださいね。あなたのぜんぶが欲しいんです」

 宣誓か、宣言か。
 私はしっかり覚えている。里見くんは、有言実行の子だ。

「古典と現文で模試の点数を二割上げます」と宣言し、実際次の模試で国語の点数を上げてきた。目標を達成するための努力は、人一倍する生徒だった。

 私は、そういう子に、好かれてしまったのだ。

「まずは心から手に入れたいと思うので、とりあえず三週間逃げ切ってみてください。追いかけますし、先生を振り向かせる努力は惜しみませんから」
「は、はあ……」
「三週間後に先生がまだ俺を好きになっていなかったら、夏休みにまた来ます。それで駄目なら、卒論の合間を縫って来ます。まだ駄目だったら、教師になってからも先生を口説くので」

 何ていうか……とても、必死なんだな、とふと思う。
 里見くんは必死だ。
 すごく、余裕があるのではないかと思っていたのに。いや、少なくとも私よりは余裕があると思っていたのに。

 腕の震えに、気づいてしまった。

「里見くん」
「はい」
「余裕、ないですか?」
「あるわけないでしょう。六年越しの想いが溢れるばかりで、本当は先生を抱きしめるのも、触れるのも、汗びっしょりですよ。俺だって、真っ赤なんですよ。だから、抱きしめて、顔を見せないようにしているのに」

 顔を上げようとすると、「キスしますよ」と低い声に牽制される。
 本当かどうか確かめられなくても、たぶん、本当だ。里見くんの体、とても熱いから。
 だから、私はようやく、ほっとした。

 あぁ、里見くんだ。私の知っている、里見宗介くんだ。
/321ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ